鋳込みに使う石膏型について

鋳込みとは泥漿と呼ばれる半液状の粘土が膜になって残った形が器になる技法です。石膏型を用います。大まかにはこんな流れです。

鋳込みの大まかな流れ

このページでは鋳込みに使う石膏型の作り方を紹介しています。(ざっくり自己流なので、本気で作る場合はあまり当てにせず、不明点はお問い合わせください)

わかりづらい動画もありますので併せて御覧ください。(このページとは作り方が若干違うころのものです)

原型を作る

(こだわりによって)3日〜1ヶ月

まず目的の形の原型を作ります。この時は器形ではなく、中をくり抜いていない無垢の状態で成形します。外側の形が器となって出来上がるように計算します。素焼き、または石膏で作ります。

石膏原型

石膏原型は生土で大きめの器形の石膏を入れる形を作ることから始まります。そこに石膏を流し込み、固まるのを待って好みの形まで削るという流れです。

短時間でできますが、削ってしまったら盛るのは容易ではないため形を作るのが比較的難しいです。

素焼き原型

素焼き原型は乾燥→焼成まで時間がかかるものの、じっくりと思い通りの形が作りやすく精度が出しやすいのが特長です。また、石膏に比べて劣化しづらくなっています。

原型を素焼きした時点で10%ほど縮み、焼成することで15%ほど縮みますので、実際の器の形よりかなり大きく計算して作っておきます。

素焼き前 生土状態の原型

ロックカップは素焼き原型を用いています。

石膏型を作る

(疲れるので)3日~1週間

器がすっぽり入る形の石膏型

原型を用いて器がすっぽり入る形の石膏型を作ります。

この時、そのまま1つで作ってしまうと取り出せなくなってしまうので、いくつかに分かれる形で作ります。ロックカップは3型です。

3つに分かれる石膏型

また、器を出すときに引っかかってしまうとそれもまた取り出せないか形が崩れてしまうため、必ず抜け勾配になっていない箇所がないか計算して確認しながら作ります。

右の石膏型(1型)

まず右の型をとります。この時、左側になる部分は石膏が流れては困るので生土で堰き止める形になります。また、鋳込み口と呼ばれる泥漿を流し込む部分を埋めておきます。

鋳込みの型は外側が3cmほど必要になりますので、原型を粘土板の中心に置いたらそこから3cm外側にアタリ線をつけます。・

青い部分が石膏を流し込むところ、黄色い外側はプラスティックの板を用いて円周を塞ぎます。

原型と生土で1型を取るための型を作ります。
1型のとり方

断面図で書くととてもシンプルですが、実際にはサイドもあるのでここが一番大変です。

石膏を流し込んだら30分ほど乾くのを待ちます。

左の石膏型(2型)

出来上がった右の型(1型)と原型を用いて左の型(2型)を作ります。この時もまだ底の部分に流れては困るので、板に高台部分をつけたものでカバーします。

1型と原型・生土を用いて2型を取るための型を作ります。
2型のとり方

石膏同士はそのままだとくっついてしまいます。これを防ぐために完全に水を含ませて、直接触れる部分だけカリ石鹸を塗って乾かして拭う、これを3回ほど繰り返して厚く膜を作っておきます。

1型があるのである程度楽ですね。また30分ほど待ちます。

底の石膏型(3型)

ここまで来たらだいぶ楽です。今まで作った2つの型と原型を用いて底の型を作ります。とはいえ、油断していると決壊して今まで作った型が台無しになるので緊張します。

作った型を逆さにして左右をプラスティックの板で塞ぎ、底になる部分に石膏を流し込みます。

30分ほど乾かして固まったらようやく型の完成です。

1型・2型を用いて底の部分の型を取るための型を作ります。
底型のとり方

石膏型を乾燥させる

2週間

作った型をバラバラにした状態で放置して完全に乾かします。夏場は1週間ほどで乾きますが梅雨の時期が最低です。鋳込みができるまでに2週間ほどかかります。