鋳込みの大まかな流れ
泥漿と呼ばれる半液状の粘土が膜になって残った形が器になる技法です。石膏型を用います。大まかにはこんな流れです。

このページでは鋳込みの流れをステップに分けてご紹介します。(ざっくり自己流なので本気で作る場合はあまり当てにせずお問い合わせください。分かる範囲でお答えします)
石膏型を作る
3週間~2ヶ月
器の大元となる原型を作り、鋳込み用の石膏型を作ります。泥漿の水分を十分に吸うために3cmほどの厚みが必要で、作品が取り出せるよう抜け勾配の割型で作ります。詳しくは「鋳込み石膏型の作り方紹介」ページを御覧ください。
泥漿(でいしょう)を準備する
まず鋳込みの材料となる泥漿についてご説明します。鋳込みのたびにではなく、ある程度まとめて作っておくものです。
泥漿について(泥漿を作る)
3日~
使いたい粘土に通常の水分量を含ませ、練れる状態にします。磁土の場合、乾燥状態の土に対して、最終的な水分量はおおよそ30%と言われています。そこに水ガラス(珪酸ソーダ)割合0.2%~0.3%を図り入れます。10kgの土に対してまずは20gです。コンクリートを練るような撹拌機でよく混ぜます。固形の粘土なのでそりゃもう大変です。

水ガラスを入れて撹拌した粘土は、だんだんと半液状になっていきます。不思議ですね。これは粘土の分子がどうとか色々化学的な話になってくるので割愛します(そもそも上辺しかわかっていない)。
その後、鋳込みに向く粘度になるまで水や珪酸ソーダを少しずつ加えて調整したものが泥漿です。空気を抜くために3日ほど放置してから使います。
鋳込みの前の泥漿準備
10分~
泥漿は時間放置で状態が変わりますので、水分を調整して使いやすい感じにします。正しくは流度がいくつとか決まっているのですが、師匠の師匠が「んーこれくらいかな!」という人だったおかげで「んーこれくらいかな!」とやっています。
石膏型を準備する
1~2分
石膏型は3つかそれ以上の割型になっていますので、これをしっかり留めます。わたしは自転車のチューブをもらってきて割いたものをゴムバンドとして使っています。
しっかり留めないと泥漿が流れ出してしまったり、うまく成形できないのでかなりキツめです。よく失敗して笑われます。
泥漿を流し入れる
1~2分
用意した石膏型の鋳込み口と呼ばれる部分から泥漿を流し入れます。糸を垂らすように、じっくりゆっくり。途切れてしまうと線が入ってしまって修正がめんどくさいので途切れないよう、かつゆっくり調整しながら流し込みます。
石膏が泥漿の水分を吸うまで待つ
15分~
石膏は水を吸う性質があります。流し込んだ泥漿の外側からだんだん水分が抜けていき、硬化していきます。

この時、水分を吸われて外側に残った泥漿の膜が器となります。
余分な泥漿を流し出して放置する
30分
15分ほど放置すると十分な膜が出来上がりますので、残った余分な泥漿を流し出します。膜になったぶんが減って鋳込み口の部分の泥漿は少し凹んでいます。
液状の泥漿が残っているとヘソや凹凸ができてしまいますので、なめらかな形になるよう型を叩いて確実に、完全に泥漿を流しだします。この作業がドラミングと呼ばれます(わたしだけ)。

まだ取り出せないくらい柔らかい状態ですので、型にもよりますがわたしはここからさらに30分ほど放置します。
器を石膏型から取り出す
3分
石膏型の鋳込み口から手を入れてみて、十分に固まっているようだったら石膏型を割って器を取り出します。
十分に固まっていないと型から剥がれずに形が崩れてしまいますし、 完全に乾燥しているとこのあとの成形がしづらいので、だいたいチョコレートくらいの硬さが丁度いいです。爪を立てたら傷が付く程度。
整形する
5分~
取り出した器には鋳込み口とバリが付いていますので、ここできれいに取ってしまいます。この段階では微調整がききませんので、ある程度おおざっぱに。
完全乾燥→削り
2~3日
室温や湿度によって2~3日の間、完全乾燥させます。
乾燥させれば細かい調整がしやすいですので、アートナイフやメッシュヤスリを使って削っていきます。ただし乾かす前よりポロッと壊れやすいのでとても慎重に。少しずつ削って、角を出しながら、最終的にはすべすべになるよう仕上げていきます。